Jewelry-Gem/宝石・鉱物

宝石は採掘する鉱物や有機物の種類によって、100から200種類にもなります。にもかかわらず、他に同じものがただ一つとしてないことが宝石の魅力ではないでしょうか。色や形のバリエーションも豊かで、輝き方が個性的な宝石も多いですよね。

今回は、様々な宝石の種類やその特徴をみていきたいと思います。また、高い価値で取引ができる宝石やその際のポイントもぜひご参考ください。

目次

【宝石の定義や様々な宝石の種類について特徴・価値を知っておこう】

まず最初に、日本国内における「宝石」の定義をみていきましょう。天然鉱物や有機物から加工されるさいには、処理方法によって価値が変わることもありますよ。

日本国内における宝石の定義とは?

日本では一般社団法人の日本ジュエリー協会と宝石鑑別団体協会によって、宝石について次のように定義されています。

宝石とは天然石のみを指す。・・・また、天然石とは、人的手段を介さずに自然界で生成された宝石物質(鉱物、岩石および有機物)をいう。

【出典:一般社団法人宝石鑑別団体協会「宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法

宝石の種類の数

現在知られている独立した鉱物種は約5000以上ありますが、そのうち宝石として使われるのは70種ほど、ポピュラーなものは20種足らずです。

結晶と非晶質

鉱物の殆どは結晶ですが、原始が規則正しく並んでいないものもあり、それらは非晶質と呼ばれます。オパールやテクタイト、モルダバイト、こはくなどが非晶質に該当します。オパールの美しい虹色は、粒子の並びと光の相関で生まれます。

また、目で見える大きさまで成長した結晶を単結晶と呼び、小さな結晶の集まりのことを多結晶と呼びます。

鉱物名と変種名

鉱物は一定の化学式で表すことができますが、同じ鉱物種でありながら色調の違いにより宝石名が異なる場合があります。例えばコランダムは赤色のものはルビー、青色及び赤色以外の色調のものをサファイアと呼ばれます。同様に、ベリル(緑柱石)は色調の違いによりエメラルドやアクアマリン、モルガナイト、ヘリオドール、ゴッシェナイトなどに分けられます。

上記のものは「色調の違い」という表現を使いましたが、厳密に言えば遷移元素と呼ばれる元素が微量に含まれることにより色調が変動します。例えばコランダムにCr(クロム)を含むとルビーになり、Fe(鉄)とTi(チタン)を含むと青いサファイアになります。ベリルにCr(クロム)を含んだものがエメラルドになります。これらの鉱物のことを他色鉱物といいます。

また、これらの鉱物は見る方向により色が異なります。これを異方性と呼びますが、宝石の持つ美しさを最高に発揮するためには、色が一番よく見える方向をテーブル面に持ってくるようにカットすることが大切であると言われています。

モース硬度

ドイツの鉱物学者モースが発案した、天然鉱物の硬さを示す指標をモース硬度と呼びます。

硬度宝石・鉱物名
1滑石(タルク)
2石膏(ジプサム)
3方解石(カルサイト)
4ほたる石(フルオライト)
5アパタイト
6長石(オーソクレース)
7水晶・石英(クォーツ)
エメラルド
8黄玉(トパーズ)
クリソベリル
9コランダム(ルビー・サファイア)
10ダイヤモンド

天然石以外の鉱物

  • 模造石:イミテーションと呼ばれ、例えば鉛をふくみ屈折率を高くしたガラスなどはダイヤモンドのイミテーションです。
  • 合成石:天然石と同じ内容の結晶を人間の手で合成したもの。大半の宝石が合成に成功していますが、トパーズとトルマリンは合成石はありません。
  • 人造石:天然では知られていない素材を使用したもの。ダイヤモンドの代替としてYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)、GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)、CZ(キュービック・ジルコニア)などがあります。
  • 類似石:見かけが類似した素材を天然石・模造石・合成石・人造石に拘わらずまとめて類似石と呼びます。

天然宝石と処理宝石・トリートメント処理石の違いって?

鉱山などから採取された天然石は、人工的に処理されてから宝石として流通します。処理の方法には、エンハンスメント処理とトリートメント処理の2種類あります。

エンハンスメント処理は、天然石がもつ本来の美しさを引き出すため、最小限の処理のことです。性質を何ら変えるものではありませんので天然石と同様に扱われます。

一方、トリートメント処理は、本来の天然石の姿からかけ離れるような過剰な加工を含みます。処理後には、たとえ美しくなったとしても、処理宝石やトリートメント処理石と呼ばれ、宝石としての価値は低くなります。

どのような処理がされたかは見分けることは難しいですが、鑑別書などに明記されているので確認しましょう。

誕生石について

誕生石は旧約聖書に由来し、1912年にアメリカの宝石業界で定められた種類が現在の誕生石の分類として定着しています。

誕生石象徴
1月ガーネット貞操、真実、友愛、忠実
2月アメシスト誠実、心の平和
3月アクアマリン、さんご沈着、勇敢、聡明
4月ダイヤモンド清浄無垢
5月エメラルド、ジェイダイト幸福、幸運
6月真珠、ムーンストーン健康、長寿、富
7月ルビー熱情、仁愛、威厳
8月ペリドット、サードオニックス夫婦の幸運、和合
9月サファイア慈愛、誠実、徳望
10月オパール、トルマリン心中の歓喜、安楽、忍耐
11月トパーズ、シトリン友情、友愛、希望、潔白
12月トルコ石、タンザナイト成功

宝石に対する人的手段とは?

天然石の色や輝きを引き出すため、宝石に対して人的手段を用いることがあります。ただし、宝石の種類やその特性により、人的手段の方法が異なります。

宝石名
加熱ルビー、サファイア
含侵エメラルド、トルコ石
充填さんご、ルビー
着色さんご、真珠
放射線照射レッドトルマリン
コーティングダイヤモンド
レーザードリリングダイヤモンド

宝石の外観的特性

それぞれの宝石によっては外観的特性が現れるものもあります。代表的な外観的特性は以下の5つです。

特徴代表的な宝石
パーティ・カラード
バイ・カラー
一つの宝石で部分的に色が異なるトルマリン
アステリズム三方向に密度高く配列するシルクと呼ばれる微細な針状インクルージョンからの光の反射により現れる6本の光条。綺麗な6本の光条が中央に見えれば評価は高くなるルビー、サファイア
シャトヤンシー平行状組織が一方向に発達クリソベル、キャッツアイ
変色性自然光下(緑)と白熱光下(赤)で色が変色する効果。それぞれの光をほぼ等量透過することにより起こるアレキサンドライト
プレイオブカラー
遊色効果
地色に現れる虹色の閃光オパール

宝石の代表的なカッティングスタイル2点

  • ファセットカット:透明カラーストーンの色の美しさや高い輝きを強調
  • カボションカット:表面の艶、色の美しさや量感を強調(半透明・不透明の宝石であることが多い)

宝石の取り扱い上の注意点

特に衝撃についてはどの宝石においても気をつけなければなりませんが、その中でも劈開の完全な宝石については少しぶつけたり落としたりするだけで割れることがあります。

代表的な宝石
硬度の低さ有機質の宝石、ジルコン、ゾイサイト
衝撃エメラルド、オパール、トパーズ
紫外線アメシスト、クンツァイト、トルコ石
エメラルド、オパール、トルコ石
超音波洗浄機エメラルド、オパール、トパーズ
水分有機質の宝石、トルコ石
酸・アルカリ有機質の宝石、ペリドット、マラカイト

【価値が高い五大宝石ってどんな種類?人気のある宝石についてもご紹介します!】

ダイヤモンドは宝石のなかでも高価な種類として、みなさんもご存知ですよね。このダイヤモンドを含めた五大宝石をご紹介したいと思います。また、買取専門店で人気のある宝石もぜひご参考にしていただければと思います。

五大宝石の種類と特徴について

これらの五大宝石は、希少性・外見の美しさ・硬度の3つの基準をクリアした「貴石」に分類されます。

【ダイヤモンド】

地球上で一番硬い宝石なので、カットに熟練の高い技術が必要。粒が大きく、透明度が高く、無色に近いほど価値が高い。カラット(重さCarat)・カラー(色Color)・カット(Cut)・クラリティー(透明度Clarity)の4つの基準(4C)があり、それぞれのグレードが記された鑑定書が発行される。

【ルビー/サファイア】

鉱物名コランダム
宝石名赤:ルビー
その他:サファイア
モース硬度9
屈折率1.76-1.77
主な産地ミャンマー、スリランカ、タイ
処理・充填
・含侵→ルビーとしての価値が殆どなくなる
・拡散加熱:アステリズム(スター・サファイア)
特徴・色調を整える目的で加熱が行われることが一般的だが、石の性質を変えるものではないので、天然石と同様に扱われる
・スリランカ産の「ギウダ」は加熱するだけでブルー、ゴールデン、ピンクなどの色があらわれる
・カボションカットによりアステリズムが現れるものもある
・サファイアはカシミール産のものが最も市場価値が高く、スリランカ産のサファイアは「カワセミのブルー」と呼ばれるものもある
ルビー

サファイヤと同じコランダムを原料に、クロムを多く含みため赤味が強いのがルビーです。なかでも最高品質といわれる「ピジョンブラッド」は、色が濃く鮮やかな赤色が特徴です。また、「ビーフブラッド」は黒味がかった落ち着いた赤色、「チェリーブラッド」は透明感のある薄いピンク色をしています。

サファイヤ

コランダムという鉱物からなる宝石で、ブルーサファイヤやピンクサファイヤ、イエローサファイヤなど、色々なカラーバリエーションがあるのが特徴。正面から光を当てると、6方向に反射して星の形に見えます。綺麗な星形を描くものは希少価値が高いです。

【エメラルド/アクアマリン/ベリル】

鉱物名ベリル
宝石名・エメラルド
・アクアマリン
・モルガナイト
・ヘリオドール
・ゴッシェナイト
・キャッツアイ
モース硬度7½-8
屈折率1.57-1.6
主な産地エメラルド:コロンビア、ブラジル、ジンバブエ
アクアマリン/ベリル:ブラジル、スリランカ、ナミビア
特徴・ほとんどのエメラルドに無職のオイルや樹脂の含侵が行われており、これは性質上必然的な処置として容認されている
・アクアマリンは暗い照明下ではさらに高い輝きを見せるため、「夜の宝石の女王」と呼ばれる
エメラルド

ベリルという鉱物からなるエメラルドは、透明度が高く明るく濃いグリーンであるほど価値が高いです。内部にキズのような内包物が多いのも特徴で、これは地中深くで結晶生成時に生じるものなので天然の証ともいえます。石の中で猫の目のような反射光を放つ「キャッツアイ」は有名です。

【アレキサンドライト/クリソベル/キャッツアイ】

鉱物名クリソベル
宝石名・アレキサンドライト
・アレキサンドライト・キャッツアイ
・クリソベル・キャッツアイ
モース硬度
屈折率1.74-1.76
主な産地ブラジル、スリランカ、ロシア
特徴・変色性かつシャトヤンシーが現れるアレキサンドライト・キャッツアイは希少性が高い
アレキサンドライト

ロシアでは「皇帝の宝石」と呼ばれるアレキサンドライトは、光源によって様々な色に変化するのが特徴です。日光のもとでは緑がかった青色から深緑に、ロウソクに照らされればオレンジや紫、深紅に輝きます。昼のエメラルド、夜のルビーといわれる所以です。

その他にもこんな宝石が人気

【真珠(パール)】

真珠と珊瑚は、「海の2大宝石」とよばれています。どちらも時代の流行や、年齢に関係なく人気がある宝石です。

そのうち、真珠の査定においては、9mmを超えるか、真円に近いか、光沢があるか、色味はどうかがポイントとなります。

【さんご】

鉱物名さんご
宝石名さんご
モース硬度
主な産地南西太平洋海域、地中海、日本近海
特徴・最も珍重されるのはオックス・ブラッド(血赤さんご)
・ヨーロッパではエンジェルスキン(本ぼけ)が好まれる

また、珊瑚では、全体の色合いが均一か、丸い形にカットされているか、濃い赤色をしているかによって高い値がつきます。

【オパール】

鉱物名オパール
宝石名オパール
モース硬度5½~6½
屈折率1.44-1.47
主な産地オーストラリア、メキシコ、ブラジル
処理・良質なブラックに見せかける目的で炭化、加熱、黒色材の含侵、コーティング等の処理が行われる
特徴・コモン・オパールは遊色効果を示さない

【翡翠・ひすい(ジェード・ジェイダイト)】

鉱物名ジェイダイト
宝石名ジェイダイト(ひすい)
モース硬度6½-7
屈折率1.66
主な産地ミャンマー
特徴・硬玉であり、ろうかんと称される透き通るような半透明
・無色硬化樹脂の含侵が行われる
・新潟県糸魚川市で多く産出され、日本の国石としても選出された

【トパーズ】

鉱物名トパーズ
宝石名OHタイプ(インペリアルトパーズ):ピンクトパーズ
Fタイプ:ブルートパーズ
モース硬度8
屈折率OHタイプ:1.63-1.64
Fタイプ:1.61-1.62
主な産地ブラジル、パキスタン、スリランカ
特徴・ほとんどのブルートパーズには人工照射が行われる
→人工か天然かの判別は難しい

【スピネル】

鉱物名スピネル
宝石名スピネル
モース硬度8
屈折率1.71-1.72
主な産地スリランカ、ミャンマー、アメリカ
特徴・アステリズムや変色性を示すものもある
・ルビーやサファイアなどコランダムと間違いやすい

【トルマリン】

鉱物名トルマリン
宝石名トルマリン
モース硬度7-7½
屈折率1.61-1.65
主な産地ブラジル、アメリカ、タンザニア(産地については、ブラジル産のものが評価が高いと言われています)
特徴・結晶構造の中に様々な成分が入り込むためカラーバリエーションが豊富であり、上下で色が異なるパーティーカラードトルマリンや、中心が赤またはピンク、外側が緑色のウォーターメロントルマリンも存在する
・レッドとピンクの照射処理が行われる

【ガーネット】

鉱物名ガーネット
宝石名化学組成と結晶構造により異なる
モース硬度6½~7½
屈折率1.73-1.89
主な産地タンザニア、ケニア、マダガスカル
特徴・主にパイロープをはじめとした赤色系だが、緑色系のツァボライトや希少価値の高いデマントイドもある

【ペリドット】

鉱物名オリビン
宝石名ペリドット
モース硬度6½-7
屈折率1.65-1.7
主な産地ミャンマー、スリランカ、ブラジル
特徴・オリーブグリーンやライムグリーンのような色合い。暗い照明のもとでも輝くことから「イブニング・エメラルド」とも呼ばれる

【クンツァイト】

鉱物名スポジュメン
宝石名クンツァイト
モース硬度6½-7½
屈折率1.66-1.68
主な産地ブラジル、アメリカ、ミャンマー
特徴・ライラックピンクの色合いで若い女性にも人気があるが、紫外線や衝撃に注意が必要

【タンザナイト/ブルー・ゾイサイト】

鉱物名ゾイサイト
宝石名タンザナイト・ブルーゾイサイト
モース硬度6-7
屈折率1.69-1.7
主な産地タンザニア
特徴・キャッツアイが見られるものもある

【水晶】

鉱物名クォーツ(単結晶)
宝石名・ロック・クリスタル
・アメシスト(紫)
・シトリン(黄)
モース硬度7
屈折率1.54-1.55
主な産地ブラジル、マダガスカル、スイス
特徴・宝飾素材だけでなく、工業用としても多く使われる

【めのう】

鉱物名クォーツ(多結晶質)
宝石名・カルセドニー
・アゲート
・オニキス
モース硬度7
屈折率1.53-1.55
主な産地ブラジル、インド、ウルグアイ
特徴・めのうを使ったストーン・カメオやシェル・カメオが作られる

【こはく】

鉱物名こはく
宝石名こはく
モース硬度2
主な産地バルティック海沿岸、ロシア、ミャンマー
特徴・昆虫がインクルージョンとして含まれることがある

【高額取引も可能!?宝石の価値を決める3つのポイント】

宝石は、年齢やライフスタイルの変化によって、大切にもっていても手放すことがあるかもしれません。そのさい高額で取引してもらうためのポイントがあります。

鑑別書・鑑定書がある

鑑別書があると高額で取引してもらえることが多いです。鑑別書には、宝石が天然石なのか人工石なのかが明記されています。また、どんな処理がされているのかが分かるものです。

ダイヤモンドにおいては購入時に鑑定書がもらえます。これは、4Cのグレードが書かれたもので、宝石としての品質や価値を保証するものです。

美しさを保つためのメンテナンスを欠かさない

宝石の状態がよくキズがないものは高額取引できるでしょう。ご自身でできる洗浄や、定期的にプロのメンテナンスをすることも大切です。また、直射日光や高温多湿の場所を避けて保管することも忘れずに。

複数の買取専門業者に査定してもらう

宝石を買い取ってもらうには、やはり宝石専門の買取業者を選びましょう。宝石学に精通したスタッフや、宝石鑑定士の有資格者が在籍しているとより安心です。また、いつくかの業者に査定してもらい、じっくり検討しましょう。

【まとめ】

天然石であり最低限のエンハンスメント処理がされた宝石は、その価値が高いといえます。五大宝石もとても魅力的ですが、様々な宝石の種類を知ることで自分好みの宝石と出会えるかもしれません。

また、長年大切にしてきた宝石を買い取ってもらうさいにはいくつか注意点がありました。とくに買取業者の選び方は難しいです。大切な宝石の価値を分かってもらえる業者に依頼したいものですね。

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