公正証書遺言と自筆証書遺言の比較

生前にきちんと自分の人生の後始末をどのようにしてもらいたいのかを記しておく遺言。終活という活動がメジャーになってきた今、自分自身や親の遺言について考える機会がある方もいるかと思います。しかし遺言をめぐって残された家族間でトラブルが起きることもあり、遺言を残す際にはきちんとした手順を踏んでおくと安心です。今回は公正証書遺言と自筆証書遺言について比較していきたいと思います。

目次

こんな方にはぜひ遺言書!

家に滞在する時間が長い今日この頃、まだ遺言書を書いていない方はこの機会にぜひ書いてみましょう!

多くの方が勘違いするのでここで明確にしておきますが、「遺言書」と「遺書」は違います。

まず、「遺書」は正しく死の直前に記す(残す=遺す)書です。それに対し、「遺言書」は確かに遺言者の死後の内容を記すものですが、主に相続財産の分配方法がメインです。法的拘束力が発生します。「付言事項」でメッセージを残すことはできますが、それはあくまでメッセージであり、法的拘束力は生じません。

家にいる時間が長い今だからこそ自分を見つめなおし、相続人のことを考えながら遺言書を書いてみませんか?

ここで、特に遺言書を書いてほしいと思う人について、下記にまとめました。

  • お子様のいない御夫婦
  • 長男の嫁に財産をあげたい
  • 慈善団体に財産を寄付したい
  • 障害を持つ子供がいる
  • 暴力をふるう息子に相続させたくない
  • 先妻との間に子供がいる
  • 認知したい子どもがいる
  • 相続人が多い
  • 殆ど会ったことの無い甥姪がいる
  • おひとりさま(相続人が誰もいない)
  • 不仲の相続人がいる(その相続人の嫁が入れ知恵)
  • 相続財産が土地・建物しかない (現物を法定相続分で分けるのが困難)
  • 相続人がそれぞれ遠方に住んでいる(場合によっては海外に住んでいる)

いかがでしょうか。あてはまるケースはありましたか。これ以外にもいろいろ考えられます。今まで円満に生活していた家族が、遺言書がなかったがためにバラバラになったケースは多々あります。相続財産が少なければ少ないほど、そして相続人が多ければ多いほどもめやすいです。「ウチは大丈夫」と思っているご家庭ほど相続でもめるのも多々あります。ぜひ一度、遺言書を書いていない方は書いてみましょう。また、すでに書いているという方もこれを機会に見直してみましょう。 遺言書は一度書いて終わりではありません。新しい遺言書が有効なのです。以前書いた遺言書の内容に不満がある場合は新たに書き直してみませんか。

公正証書遺言と自筆証書遺言の違い

遺言について調べてみて、初めてこの二つの存在を知ったという方も少なくないのではないでしょうか。

公正証書遺言とは、公文書にあたる公正証書として作成された遺言のことで、自筆証書遺言は、遺言を残す人本人による手書きの遺言のことを指します。

それぞれの特徴を比較してみると以下のようになります。

公正証書遺言

【作成方法】

2人以上の証人立会いのもと、公証役場で作成されます。
遺言者が公証人に対して遺言の内容を口述し公証人が作成します。

【保管方法】

公証役場にて原本が保管されます。

【相続開始後の手続き】

検認不要で公証役場にて遺言の内容を確認できます。

自筆証書遺言

【作成方法】

財産目録以外のすべてを自筆で作成します。

【保管方法】

自宅で保管するか、法務局で保管します。

【相続開始後の手続き】

法務局で保管されている場合は、相続人は法務局にて検認不要で遺言の内容を確認することができます。故人の自宅で保管されている場合は検認が必要になります。

それぞれのメリットやデメリットも見ていきましょう。

公正証書遺言のメリット、デメリット

【メリット】

  1. 作成は公証人が行うため、形式不備などによる遺言の無効が起こるリスクが無い。その上自分で作成しないので、文字が書けない状態の人でも遺言を残すことができます。
  2. 出張作成制度を利用することで、自宅や病院などでも遺言の作成ができます。
  3. 保管は公証役場でされるので、遺言の偽造や紛失のリスクがありません。
  4. 公証人や証人の前で作成されるので、遺言書を作成する時の意思能力について後々争われる可能性が低いです。
  5. 検認が不要です。

【デメリット】

  1. 作成費用や手間がかかる

公正証書遺言を残す場合のメリットやデメリットはこのようになります。

メリットを見てみると、より信頼性の高い遺言を残したい方や、自筆ができない方向けであることが分かります。

デメリット部分の費用や手間に関してですが、証書作成の手数料は遺言の対象となる財産額が高額になるほど手数料の額も上がります。一般的には、証人を依頼した場合の費用は1人あたり5,000円から15,000円と言われており、出張制度を利用した場合は公証役場で作成する際の1.5倍程の費用がかかります。

証人に依頼する分、打ち合わせ日や作成日を予約しなければならなかったり、必要書類を揃える時間がかかります。自筆証書遺言に比べて時間がかかるのも公正証書遺言を作成する際の特徴です。

自筆証書遺言のメリット、デメリット

【メリット】

  1. 自分で作成するので費用がかからず気軽に作成できる
  2. 法務局にて保管する方法を選択すれば、偽造や紛失などのリスクをなくすことができ、検認も不要。

【デメリット】

  1. あまり知識のないまま作成してしまうと、形式不備による遺言の無効が起きてしまったり、家族間でのトラブルになる可能性がある
  2. 自宅で保管する場合は、偽造や紛失の恐れがある
  3. 法務局で保管されている自筆証書遺言以外のものは検認の手続きが必要になる
  4. 場合によっては遺言書を作成した時に、遺言者に意思能力がなかったとして争われやすい

自筆証書遺言のメリットやデメリットを見てみると、気軽に作成できる反面、下調べや厳重な保管体制が求められることが分かります。

遺言は直筆で残したいというこだわりがある方にとっては、この自筆証書遺言を残すことになると思いますが、遺言書としての不備があってしまっては遺言が無効になってしまったり、後々残された家族間での相続トラブルとなってしまう可能性もあります。遺言の作成に関する知識をきちんと調べ、厳重な保管をするためにはどうすればいいのかを事前に決めておき、遺言の作成にとりかかりましょう。

保管に関して心配がある方は新たな制度である法務局での保管を選択することをおすすめします。

相続トラブルを起きにくくするには

これまで公正証書遺言と自筆証書遺言という2つの遺言の残し方の比較をしてきましたが、実際どちらを選択すればいいのだろうと悩む場合もあると思います。遺言としてきちんと成り立っており、厳重な管理のうえ家族間の相続トラブルを起こしたくないけれども遺言書作成のコストはあまりかけたくないという方は、行政書士リーガルプラザの「自筆証書遺言保管制度コンサルティング」のご利用をお勧めします。

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