酒類は「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3通りに分類されます。
【ブランデー】
ブランデーは、果実酒からつくった蒸留酒の総称。語源はオランダ語の「焼いたワイン」を意味する brandewijn から。明治時代の辞書『袖珍獨和新辭林』によれば「葡萄地酒」と訳されています。漢字で「罷蘭地」「白蘭地」とも当てて書かれました。
主に白ブドウのワインを蒸留して樽に入れ、熟成して製造します(熟成期間は5 – 8年。種類によっては25年以上熟成させるものもあります。熟成させすぎたものは新しいものとブレンドして若返らせる場合もあるそうです)。単にブランデーと言った場合は通常ブドウが原料のワインを蒸留して作られたものを指しますが、リンゴから作ったアップル・ブランデーやサクランボから作ったチェリー・ブランデーも存在します。
【スピリッツ】
ジン・ラム・ウォッカ等の蒸留酒をスピリッツといいます。
ジン
ジン(杜松子酒)とは、大麦、ライ麦、ジャガイモなどを原料とした蒸留酒。元々は薬酒として誕生しました。
ジュニパーベリー(Juniper berry、主にセイヨウネズ)の球果の上に流すことによって香り付けがされているのが特徴的。蒸留酒の中では比較的、個性が強くない上、西ヨーロッパでは古くから知られているため、そのまま飲むだけでなく、カクテルの材料として最も多く使われているものの一つです。
日本の酒税法上はスピリッツ(蒸留酒)に分類されます。
ラム
ラム酒(ラムしゅ)またはラムとは、サトウキビの廃糖蜜または絞り汁を原料として作られる蒸留酒です。
サトウキビに含まれるショ糖を酵母でアルコール発酵させてエタノールに変えた後、蒸留、熟成することで作られます。西インド諸島が原産地と考えられています。
ウォッカ
ウォッカは穀物を原料とし、発酵、蒸留することによって作られます。成分は水とエタノールで、不純物をほとんど含みません。
無色透明で雑味がないことが特徴です。カクテルの材料としても使われます。
テキーラ
テキーラとは、メキシコ国内のハリスコ州とその周辺でアガベ・テキラナ・ウェベル・バリエダ・アスルと呼ばれる竜舌蘭(Agave, アガベ/アガヴェ)から造られる蒸留酒です。
1994年まではメスカルの一種でしたが、1994年にテキーラとして原産地呼称を導入したため、個別名称となりました 。メスカルも2000年代に入り、原産地呼称を導入したため 、現在はアガヴェを原料としたテキーラ・メスカル・その他の規格に合致しない酒類はアガヴェ・スピリッツ(リコールデアガヴェ)と呼ばれます。
ウイスキーのようにそのまま飲まれるほか、カクテル等の材料にも使われます。産地ではそのまま飲まれることが多く、ライムを口へ絞りながら楽しみ最後に食塩を舐めるのが正統な飲み方とされます。また、100%アガベで作られた高級テキーラの香りや味わいを楽しむために、ワイングラスなどの口の大きいグラスを用いる飲み方も増えてきています。
【リキュール】
蒸留酒(スピリッツ)に果実やハーブなどの副材料を加えて香味を移し、砂糖やシロップ、着色料などを添加して調製した混成酒です。
日本国内においては、酒税法で「リキュール」として定義されています。その定義は「酒類と糖類その他の物品(酒類を含む)を原料とした酒類でエキス分が2%以上のもの(ただし清酒、合成焼酎、しょうちゅう、みりん、ビール、果実酒類、ウイスキー類、発泡酒、粉末酒を除く。)」というもので、一般的なリキュールだけでなく、近年日本の各メーカーが開発したチューハイやサワー、さらには発泡酒に別の蒸留酒を加えたいわゆる第三のビールの一部(その他の醸造酒(発泡性)に分類されているものと区別するため「第四のビール」とも呼ばれる)なども含まれます。
なお酒税法の分類では、たとえ日本酒の製法で造られていたとしてもアルコール分が22%以上の清酒は「リキュール」となります。
リキュールは、香草・薬草系、果実系、ナッツ・種子系、その他の4種類に分類され、その元祖となるのは、薬でもあった香草・薬草系のリキュールです。
近年では食品の加工技術の向上に伴い、従来の枠にははまらない特殊なタイプのリキュールも多く出現しています。
【焼酎】
焼酎は原料の違いで、米焼酎・麦焼酎・芋焼酎・黒糖焼酎・粕取り焼酎・そば焼酎・栗焼酎・泡盛など様々な種類があります。
南九州(宮崎県・鹿児島県・熊本県南部)を中心に製造が盛んです。また、長崎県の壱岐、東京都の伊豆諸島、沖縄県など、島嶼でも焼酎が製造されています。
現代の日本で製造される焼酎のアルコール度数は25%が多いですが、第二次世界大戦直後に20%以下の酒税率を低くして密造焼酎の淘汰を図る政策をとった影響で20%の製品もあります。
酒税法に原料、製法等の定義があり、アルコール度数は連続式蒸留焼酎で36度未満、単式蒸留焼酎(本格焼酎)で45度以下と定められています。
また、日本国内では酒税法によって種別基準が定められており、連続式蒸留焼酎(旧甲類)と単式蒸留焼酎(旧乙類)に分けられています。
名称については酒税法で「新式焼酎」にあたる「焼酎甲類」と、在来焼酎にあたる「焼酎乙類」の区分が制定され、後にそれぞれ「連続式蒸留しょうちゅう」「単式蒸留しょうちゅう」と名称変更されました。
【日本酒】
日本酒(にほんしゅ)、または和酒(わしゅ)は、通常は米(主に酒米)と麹と水を主な原料とする清酒(せいしゅ)を指します。日本特有の製法で醸造された酒で、醸造酒に分類されます。
酒税法において「清酒」とは、次の要件を満たした酒類で、アルコール分が22度未満のものをいいます(3条7号)。
- 米、米こうじ(麹)及び水を原料として発酵させて、こしたもの
- 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの
- 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
なお、日本酒に類似する酒類として「その香味、色沢その他の性状が清酒に類似する」混成酒である「合成清酒」(同条8号)や、どぶろくなど一部の「その他の醸造酒」(同条19号)があります。
一般的な日本酒のアルコール度数は15~16%と醸造酒としては高い部類になります。女性や若者など軽い酒を好む消費者や、輸出を含めた洋酒との競争に対応するため、アルコール度数がビールよりやや高い程度の6~8%台や、ワインと同程度(10%台前半)の低アルコール日本酒も相次ぎ開発・販売されています。発泡日本酒では5%という製品もあります。
逆に、清酒と類似の原材料、製法で酒税法上の定義より高いアルコール度数(22度以上)の酒を製造することも技術的には可能です。「越後さむらい」(玉川酒造)のように、清酒の製法(醸造した原酒にアルコール添加・加水しての製造)で製造されながらアルコール度数が46度に達する酒も存在します(酒税法上は3条21号のリキュール扱い)。
【まとめ】
酒類は様々な種類に分類され、各々の原料や製法、歴史が異なります。ただ単に味を嗜むだけでなく、その酒類の製法や歴史などのバックボーンを知る事で、より酒類に対する興味関心が深まる事でしょう。
それと同時に、適切・適量な飲酒量を保つことは言うまでもありません。その上で様々な酒類に巡り合う旅に出るのはとても素晴らしい事だと思います。酒類は奥の深い世界であると改めて感じる次第です。